コロナ禍で長らく禁止されていた北マリアナ諸島でのダイビング。ようやく政府発表の下、再開が許可されました。

まず6月15日に、個人による健康維持・レジャー目的でのダイビングの規制が解除。但し、ダイビングショップがツアーやレッスンを行なう等の営業活動を伴うものは禁止のまま。
その後、地元ダイビングショップで構成される組合の働きかけや、島内での感染収束の見通しが立ち、6月28日付で営業活動を含むダイビングがようやく解禁となりました。

マリアナブルーと称される、青く透明度の高いマリアナの海。水温が高く通年快適に潜ることができる屈指のダイビングエリア。ライセンスなしの観光客でも体験ダイビングに申し込めば、この美しい水中絶景を堪能できる。

3月に感染拡大防止のため営業が制限されてから4カ月ぶりの再開です。現地ダイビングショップはどうなっているのか、マリアナの海の今をNMDOA(北マリアナ諸島ダイビング事業者組合)代表のMSC山口仁(ヤマグチ・ヒトシ)氏に伺いました。

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Q:6月28日付の営業再開はとても嬉しい発表でした。現在、現地ダイビングショップの皆さんは、どうされていますか。

A:ようやく営業規制が解除され、一歩前に進んだなという感じです。ここ一ヵ月は、島内で新規感染者が一人もでていませんし、良い傾向だと思っています。ただ、現状は飛行機の運休が続いていて海外からの観光客ダイバー客がほぼ来島できない状態なので、どうにもなりません。

水中写真であることを気づかせないほど透明なロタの海。浅瀬のサンゴは今日も元気に生き生きと。
写真提供:Rota Scuba Center Rubin

店を維持するため、グッズの制作・販売を始めたり、ダイビング器材のセールを行なったり、通常営業とは違う形でどのショップも努力しています。私の経営するショップでは、この機会に地元警察等に救援や海上での業務のスキルアップのためのダイビング講習を受けていただけないかと、新しい提案をしたりしています。

SNSやYoutubeをこまめに更新し、ダイバーの役に立つ現地発情報を発信しているショップも多い。ロタ島のブルーパームスでは定期的にインスタライブを開催している。
写真提供:Blue Palms Dive Service Rota

Q:ダイビング組合としては、コロナ対策や新たな取り組みを始められているのでしょうか。

島に観光客がいつ戻ってもいいように感染防止の安全対策資料を作成中です。各ダイビングポイントでどういった注意や予防策が必要か、そういった確認も済んだので資料に反映させるつもりです。

その他にはポイント毎のメンテナンス作業なども考えています。現在は人気ポイントであるグロットにある階段の補修を行なえないか検討中です。観光客のいない今しかできませんし、ショップのダイバーも今は時間があるので、安全面をより強化できる良いタイミングだと思います。

サイパン随一の人気ポイントとも言われるグロット。神秘的な青の水中洞窟は想像を超える美しさ。エントリー前には116段のダイバー泣かせの急階段がある。
写真提供:MSC

Q:マリアナの海の状況はいかがでしょうか。

6月、7月と海況は例年にないほど静かです。ダイビング日和が続いているので、日本のお客様をお連れできないのが残念です。ラウラウビーチの名物住人・カメさんも元気にしていました。

ラウラウビーチの食欲旺盛なカメたち。ダイバーがいようとお構いなしにモグモグ。「久しぶり!最近、誰も来なかったね」と思っているのでしょうか。
動画:MSC

5日以降に、水中画像をスタッフブログであげているダイビングショップもたくさんあるので、最近のマリアナの海を知りたい方はぜひ読んでみてください。

NMDOA加盟ダイビングショップ・ブログ一覧

組合の活動ではありませんが、7月5日からサイパンのダイバー有志が集まり、サンゴ産卵調査プロジェクトが始まりました。毎年この時期の大潮の日はサンゴの産卵が多いと言われています。マリアナはサンゴに囲まれた島です。この美しい環境を守りながら、新しいマリアナの名物ツアーが生まれるかもしれません。

サンゴに囲まれたマリアナの島々。プロジェクトでは、まず産卵の兆候がみられるサンゴの位置を昼間に事前確認。サンゴは雌雄同体で精子・卵子がつまったバンドルというカプセルを放出する。
写真提供:Make Sure Dive / Photo by enzoudiber

Q:最後に、日本の皆さんへメッセージをお願いします。

3月以降、営業停止状態でマリアナのダイビング業界は苦労していますが元気です。全店の願いは、日本の皆様に安全に楽しくマリアナを楽しんでいただくこと。今はそのために自分たちができる準備を一生懸命行なっています。

同じく、日本での対応もとても大事になります。都内を中心に感染者が増加傾向にありますが、危機意識を強く持ち続けることが大切。大変だと思いますが、お互い頑張りましょう。一日でも早く皆さんをマリアナにお迎えできる日が来ることを楽しみにしています。

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日本では、猛暑が予想される今年の夏。東京都では6月9日に30度を超え、今年初の真夏日となりました。コロナ禍で春休みを思う存分過ごせなかった分、夏休みは海でたくさん遊びたいという人も多いようですが、神奈川県のように安全対策面から海水浴場やプールを今夏は開設しないことを発表する県も出ています。

年間平均気温が27℃の常夏マリアナは、季節問わず、一年中海を楽しむことができる島。日本―マリアナ間のフライトが再開される頃には、より一層美しく、そして安全となったマリアナの海となっていることでしょう。

スポットライトと呼ばれるサイパンのダイビングポイント。
夏がベストシーズンで強い光が美しく差し込み、光のカーテンが現れる。 写真提供:MSC

 
■マリアナ発:ダイビングショップ・ブログ&SNS一覧

NMDOA加盟店舗のうち、定期的に投稿(日本語)を行なっているダイビングショップの現地発スタッフブログや公式SNSをご紹介しています。
<NMDOA公式サイト> http://www.nmdoa.net/


■スポーツアイランドマリアナ「ブログ―ダイビング」
毎月サイパンとロタ島から交替で最新のダイビング事情をブログでご紹介しています。
https://mymarianas.jp/sportsisland/diving/

(2020年7月7日)

 

◆過去の記事を読む◆

サイパンからテニアン、ロタへ、島間フライトはどうなってる?(6/30更新)
https://mymarianas.jp/clean-safe/20200630-2/

「黄」から「青」へ-バー営業も開始(6/24更新)
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PCR検査、島の人口15%が完了(6/16更新)
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少しずつ日常へ-外食が一部OKになりました!(6/15更新)
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